ふるさと納税は、「地方創生」を目的とし、
自分が住む自治体に収める税金の一部を、応援したい都道府県や市区町村に寄付することができる制度です。
(参考:総務省)

寄付金のうち、2000円は自己負担となり、それ以外の寄付金額は税金から控除されます。
税金から引かれる額は、住民税の2割が上限です。(平成29年現在)

また、寄付をした殆どの自治体から、「寄付のお礼」として、地元の特産品などの品物を貰うことができるのが特徴です。

ここ数年でふるさと納税の寄付総額は上昇し続けています。特に、制度の改革により、平成27年から寄付をする人が激増しました。

しかし、人気の高まりとともに、ふるさと納税にまつわる問題を頻繁にニュースで目にするようになります。
ふるさと納税で何が変わったのでしょうか。どういう問題があるのでしょうか。
わかりやすく解説し、私たちにできることを考えたいと思います。

この記事は2017.3に書かれています

ふるさと納税の明と暗

返礼品の豪華さの競争ふるさと納税の問題01「商品券をお礼の品にしたら、どんどん寄付が集まるぞ!」
「お金に替えられる品物にはかなわないよ」

寄付額を増やしたい自治体が、より還元率の高い品物(商品券、家電、高級食材など)、豪華な品物で競い合う傾向が見られる例がある。

地元産でない家電などの返礼品は、その自治体のアピールにも特定商品の強化にもならない。
正当な競争力の減退にもつながり、また、換金を目当てに、転売による不当な節税や脱税問題への声も上がっている。
(返礼品競争などの課題は、総務省が今春をめどに改善策をとりまとめる方針とのことだ。)

還元率とは、寄付金額に対して、各自治体が返礼品の調達にかけた費用の割合のこと


都市部では、格差どころかマイナスに

ふるさと納税の問題02「いいワインだ」
「公園の滑り台、まだ治らないの?」

都市部では、ふるさと納税により多くの税金が流出する。
返礼品をいただく人は喜び、気付かないかもしれないが、税収が減った分、自分たちが行政サービスが受けられない場合もある。
返礼品をもらえない人は、良いことは何もないという現実も。

自分がふるさと納税をすることで 、行政サービスの質や量の低下に繋がると意識をする人は、少ない‥。


ふるさと納税に係る経済波及効果、しかし
ふるさと納税の問題03「返礼品の注文が増えて、雇用も給与も増えることになった!」
「いつかふるさと納税が終了したら・・?」

寄付が多く集まれば、返礼品生産のための雇用の増加や、設備投資などの可能性もある。
返礼品の広告等派生業務ををアウトソーシングする場合はそこにも雇用が生まれる。

しかし、いつかふるさと納税制度が終了する可能性を想定しなければならない。
ふるさと納税に頼りすぎずに商売力を強化し、事業者がひとり立ちをする必要がある。


工夫すれば全ての自治体にチャンスはある
ふるさと納税の問題04
「工夫をしたら、選ばれるようになった!」
「うちの商品は人気がない。どうしたら良いかわからない」

元々認知度は高くないが、魅力的な特産品について、広告でアピールをしたり、商品の改良を行うことで、全国区にデビューする機会が得られる。そこで実際に人気が高まった例がいくつも存在する。

一方、商品を売り込むことに慣れていない事業者・自治体も多く、行政の積極的なサポートなどが求められる。自治体の成功例に学ぶことも有効だ。

 以上は、ふるさと納税問題を明と暗両方の視点から見てみました。
返礼品の競争や、経済格差の助長、恒常的な財源ではないことへの難しさは考えさせられる点です。
一方、ふるさと納税がもたらした「希望」もあります。

ふるさと納税がもたらす希望

特産品の発掘と、通販市場への参入を促すふるさと納税の問題05地元にあるものを返礼品として提供したところ、ポータルサイトなどを通じて全国に伝わり、今まで有名ではなかったものが思わぬ人気となる可能性がある。

人気商品は通販市場への参入を図ることで、ふるさと納税制度の終了後もお金を出して買ってくれる人が見込める。
消費者は、こんなにいいものがあったんだという発見の喜びがある。
自治体の成功例が増えて、自分たちもやってみようという他の地域の農家や漁師の力を引き出すことに繋がればなお良い。

ふるさと納税を通じた商品開発で、思わぬヒット商品になる可能性がある
ふるさと納税の問題06
ふるさと納税の返礼品としてより選ばれるように、商品の魅力を見直す。パッケージを変える。あるいはネーミングを伝わりやすいものに変えることで魅力が輝く商品に生まれ変わる可能性がある。

寄付や税金に対する意識が高まるふるさと納税の問題07一般的に、多くの人たちは税金に対しての不満が高く、義務でしかない。それが何に使われているかが曖昧で、メリットと繋がりづらいことが原因だ。だが、ふるさと納税は、寄付先や、使い道を選択することができ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度である。

先進国の中でも、日本人は寄付をする習慣が非常に少ない。だが、ふるさと納税を通して、お礼品に惹かれてではあるが、積極的に寄付をすることになる。
寄付をして、自治体からお礼のメッセージをいただいたり、その後の活用実績をwebサイトやパンフレットで知る。「寄付って良いな」という感覚が始めて芽生える。

ふるさと納税は、税金や寄付に対する意識を自然と高めてくれるのだ。

「人」も呼び込むふるさと納税ふるさと納税の問題08体験型の返礼品は、実際に人が自治体にやってくるため、その土地のアピールができ、また滞在中の消費も見込める。そうでなくても、特産品を通して、その土地に興味を持ち、実際に赴くといった例もあるだろう。返礼品に、その土地を紹介する素敵なパンフレットが届く事があるが、人や企業の誘致に効果的な方法だ。
実際、当方もある返礼品をきっかけに興味が湧き、のちに返礼品由来の温泉地を訪ねたことがある。

ふるさと納税は善か悪か

ふるさと納税は一体良いのか悪いのか。

その答えは制度を利用する「人」にありそうです。

日本全国の自治体や事業者が、一念発起すれば、町おこしや村おこしのまたとないチャンスともなります。
よく言われることですが、返礼品として選ばれなくても、商品の見直しや改革は無駄にはならないという見方もできます。
一方、ふるさと納税の上に胡座をかいているだけでは、いつか終了した際に、自分たちの首を絞めることにもなりかねません。

また、寄付者側の意識も高めることが大切です。
まずは堅苦しく考えすぎず、返礼品を選ぶ際にじっくりと探してみることから始めるのはいかがでしょうか。
(返礼品ありきの記述になっていますが、勿論寄付だけでも素晴らしいことです。)周りの人が知らないような良い特産品が見つかるかもしれません。
品物を通してその土地に縁ができ、移住やセカンドオフィスを設ける未来もありえなくはないのです。

つまり、ふるさと納税とは、それに関わる全ての人の行動で、良くも悪くも変化するものでしょう。それぞれの自治体の良さが発掘され、見直された時、俯瞰で見ればより日本を強くする事に繋がり、最終的には自分たちの生活に繋がっているのですね。

 


使用イラスト

「みふねたかし」様の、とても表情豊かで抜群のセンスのイラストを使用させていただきました。

参考文献

  • 保田隆明・保井俊之『ふるさと納税の理論と実践 (地方創生シリーズ)』 宣伝会議、2017年。
  • 髙松俊和『ふるさと納税と地域経営 ~制度の現状と地方自治体の活用事例~ (地方創生シリーズ)』 宣伝会議、2016年。
  • 新聞各紙

参考サイト

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA