【書評・要約】2021年まで待ちなさい!2019〜2021年の投資戦略【相場見通し】

「2021年まで待ちなさい!」キャッチ
書籍『2021年まで待ちなさい! 2019〜2021年の投資戦略』を読みましたので、

レビューと要約をしたいと思います。

『2021年まで待ちなさい!2019〜2021年の投資戦略』菅下清廣 著
2019年6月5月 初版発行

※なお、この本を紹介するにあたり、著作権侵害にならぬようできるだけ配慮して良さをお伝えできればと思います。

レビュー

著者の菅下清廣さんは、国内外の金融機関および上場企業の金融顧問、新興企業のアドバイザーを務め「経済の千里眼」として財政界や各界から多くの信頼を得ています。

こちらの書籍は、世界及び日米の今後の株価や為替の動向をを予想されています。2019年5月に初版発行ですので、現在(2019.10)とタイムラグはありますが、
今年発信された長期予想の中で、現時点で多くのアナリストや著名投資家が、すでに世界景気のピークアウトを主張する中、著者は一貫して、一旦の調整は入りつつも日米株価の上昇基調は数年は続くだろうと述べています。
悲観論が多いときこそ株を買うチャンス到来とも。

著者は、算命学及び、著者独自の波動理論、テクニカル分析、各種メディアや人脈を駆使した情報を組み合わせ、長年の研究を続けられています。
景況感を示す指数は厳しい状態にあり、米中争いは長期化し、景気拡大の年月も長すぎるのでは…という現実は重要ですが、大幅下落に繋がる確固たる材料も今現在存在していないと思えます。
そのような中、波動やその他の情報を用いた菅下さんの主張「今後もさらなる上昇が見込めるのでは」という菅下さんの主張も頭に入れておくべきだと思うのです。

各国の景気、世界のマネーの行方、株、為替、金利、ビットコインまで幅広く分析された本書。長期戦略を立てたい方にとってとても興味深い本になるのではないでしょうか。

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要点

本書から、気になる日米の今後の見通しだけピックアップしました。

先に注意事項ですが、著者の菅下さんの執筆当時と、現在〜今後の状況は異なる場合があります。
例えば現時点2019年10月では米中関係の目先のリスクは軽減されており、仮想通貨市場では量子コンピューターの登場が話題になる…など。

波動やチャートは仮説シナリオを立てる「仮設の一つ」にすぎないので、日々の政治経済情報と併せてトータルで仮設の裏付けをとる作業が必要です。

日経平均株価予測

日経平均株価予測 2019-2025
  1. 日経平均株価は、2019年11月〜年末は要注意、相場の転換点(一旦の調整局面を迎える)可能性
  2. 景気の好循環は2020年まで続き、2020年を境に天井をつける。2万7000〜8000円をつけるという見通しも
  3. 2024年から再び景気がよくなり、2025年まで上昇トレンドが続く可能性

著者理由

2019年は「7年波動の転換点」に当たるので注意。リーマンショックを織り込んだ日本経済の大底から、8160円という二番底を打ったのが2012年11月14日。
それからちょうど7年目が2019年の11月。景気の4つの波のうち、中間サイクルのジュグラーの波は7〜10年。なので、7年後の2019年の11月は要注意。
また、この時期の重要な国内要素としては2019年10月の消費税増税がある。

4つの景気循環の波(サイクル)とは?
好景気、不景気は、4種類の波を繰り返している
◯キチンの波ー2.5〜3年のサイクル
◯ジュグラーの波ー7年〜10年のサイクル
◯クズネッツの波ー20年のサイクル

◯コンドラチェフの波ー40〜60年のサイクル

citronella
citronella
景気循環の波(サイクル)の注意として、相場のどこを出発点とするか、また4つの波のうちどの波を考えたものであるかにより、ズレが生じることに注意が必要です。

もしも10年波動で考えた場合、リーマンショック後の大底の2009年3月を出発点とすると、10年目がやはり2019年であるため、波動または景気のピークとして意識されやすいと思います。ただし、ピークに見合う材料が無ければ大幅な下落には繋がりづらいのでは。

citronella
citronella
消費税増税においては、その時々の状況により織り込まれ方が変わるため、必ずしも大幅な株価下落に繋がらないことは過去の例から見て取れます。

NYダウの予測

NYダウの予測 2019-2025
  1. NYダウ(アメリカの平均株価)は、日経と同じく2019年11月に一旦の調整局面を迎える可能性
  2. 2020年11月の大統領選に向けて、未曾有の好景気を迎える→その前後に最初の天井を付ける
    (一旦株を売る戦略が投資家には必要)
  3. トランプ大統領が再選すれば任期は2024年まで。この間に二番天井を付ける

著者理由

トランプ大統領の登場が2016年の11月。その3年後が2019年。波動理論で見たNYダウのサイクルは2年半から3年なので、ちょうど2019年11月ごろに大幅な調整が起きても不思議はない。前述の日経平均の7年の波動に当たる2019年11月とも合致。

次の大統領選が行われる2020年の11月までは、インフレ政策と、シリコンバレー・バブル(GAFAバブル)の継続により、アメリカの株価と不動産は上がり続けるはず。
仮に2万7000ドルの壁を明らかに越す場合は、株価は2万8000ドルの壁を目指す。2020年11頃までは3万ドル以上になる可能性も。楽観シナリオではトランプ大統領が再選すれば、一時的な後退期や不況があっても、2024年から2025年まではおおむね好景気が維持できる。
悲観シナリオとしては、2021年頃、大型増税や財政出動などが弾切れになる可能性もゼロではない。長期金利については、ジェフリー・ガンドラックという著名投資家が、「2021年には金利が6%まで上がる」と予想している。
citronella
citronella
2009年3月を、リーマンショック後の大底と捉えることは大衆の目にも容易で、さらに10年目の2019年は景気のピークとして意識されやすいです。

ビットコインの予測

ビットコインの予測 2019-2025
  1. 仮想通貨のビットコインは、2020年6月から12月ぐらいに底入れする可能性
    もしくは、2021年1月〜前半頃底入れする
  2. 底入れは一番厳しい場合、20万円ぐらいまで下がると想定
  3. もし2020年の年末までに底入れすれば、2024年か2025年には、100〜120万円前後をつける相場がやって来る

著者理由

仮想通貨の予想は、業績などを調べて分析ができないため、時間の波動で見ていくしかない。
ビットコインの天井は2017年12月。2018年1月初頭に二番天井。一番短い波動の2年半から3年の波動でみた場合、2017年の12月から数えれば2020年6月から12月までに大底が入るのではないかと予測できる。
(2018年の1月の二番天井から数えれば2021年1月〜前半頃に大底が入るのではないかと予測できる。)もし、2020年の年央〜年末にかけて、ビットコインや仮想通貨に良いニュースや情報が出てくると、波動(サイクル)とマッチングする。その時が底入れのサインになる。

ドル円予測

ドル円予測 2019-2020
  1. ドル円相場は、2020年後半には120円を目指す可能性

著者理由

為替も、大幅な円安時代がやって来ると予測できる。2020年後半には120円を目指すような展開になるのでは。2019年に、仮に1ドル104円-105円、厳しい場合に99円などの円の急騰があったら、ドル買い、ドル預金の絶好のチャンス到来。

日米株価まとめ

日米株価まとめ
  1. 日米株価とも、2020年に調整、その後は2024年あたりまで概ね好景気を継続できるのでは
  2. 2024〜2025年は算命学やトレンドから見ても、世界の大きな転換点、大不況になる可能性もある

その他の著名投資家達の見解は?

世界の有名投資家で、興味深いコメントを少しピックアップしてみました。

ダリオ氏予想の米景気後退確率40%、中国は米債を武器にも-CNBC
(2019年8月16日 21:15 JST ブルームバーグ)

ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者、レイ・ダリオ氏は、米経済は悪化へ向かっており、2020年の大統領選挙前にリセッション(景気後退)に直面する確率が40%あるとの見方を示した。CNBCが15日、ダリオ氏のインタビューの内容を報じた。

レイ・ダリオ:連銀の景気刺激策、ボトルに残っているのはあと1年分ほど

「結局のところ次の景気下降局面が迫る中で金融政策はこの2年間は危険なほど効果が薄い状態となるだろう」とダリオは予言する。

状況はもっと悪いだろう。それはもし連銀や他の中央銀行がもはや市場を浮上する力を持っていないと市場が判断した場合には、特に中央銀行によってS&Pが数百%押し上げられていることを考慮すれば、市場は近いうちに大きな痛みを伴う調整局面に入るだろう。


バークシャー、保有現金が1220億ドルに急増-4~6月は株式売り越し
(2019年8月5日 2:48 JST ブルームバーグ)

株式相場が最高値を更新する中、バフェット氏率いる米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイの4-6月(第2四半期)の株式売却額は購入額を10億ドル(約1060億円)相当上回った。売越額としては2017年末以来の最大だった。

バークシャーの手元現金は過去最大の1220億ドルに急増した。こうした現金の規模にここ数年、投資家の注目が集まっている。


上記に関係する、
現役ファンドマネージャー 石原順氏の見解

目先の利益にとらわれず、逆張り投資家ウォーレン・バフェットに学ぼう
(2019/9/5 トウシル)

 バフェット指数(米国株式市場の時価総額の名目GDP[国内総生産]に対する比率)が 150%を超えている現状では、バフェットは少なくとも長期の買いポジションを持つ時期ではないという判断のようだ。

利下げのノリシロは2%しかなく、FRBが今年後半に追加利下げに動けば、景気後退や金融危機になった時に打つ弾がなくなってしまう。
次の景気後退や金融危機にFRBはQE4(量的緩和第4弾)で対処するしかない。

だから、10年単位でみた株の大きな買い場はQE4である。QE4が実施されるには、金融危機や株の暴落という大義名分が必要である。
米国の利下げなど、株の買い場でもなんでもない。市場はさらに催促をするだろう。ウォーレン・バフェットが現金を温存し、株を買っていないのはQE4を待っているからであろう。

共通点と、その他の考察

以上、「2021年まで待ちなさい! 2019〜2021年の投資戦略」のレビューと要点をまとめさせていただきました。実際の本では、より深い著者の説明や、資産3倍増を狙う厳選黄金株なども多く掲載されていますので読んでみてください。

本書の主旨は、日米の株価は2020年に調整局面を迎えそうだが、その後2024年ごろまでは概ね好景気を継続できるのではという見方。

世間的に多い見方は、今回の記事で紹介した引用文以外にも、景気後退はすでに始まっている、金融緩和には限界があるという見方が多いようです。

目先気をつけた方が良い共通項は、アメリカの大統領選、東京オリンピックまでは現状維持が概ね続くが(本書の主張では再び好景気になる)が、2020年は調整局面に入る可能性があるということです。
また2019年に関しては、リーマンショック後の大底からちょうど10年という、警戒される時期でもあるようです。
(株は、7-10年の間に大暴落するというサイクルも意識されやすい)

このような時期は、資金管理ももちろん大切ですが、
景気後退期にどうするか、暴落時にどうするか、個々で決めておくことがチャンスに繋がると思います。大人の宿題(投資戦略)を十分にやっておくことが投資家の明暗を分けそうですね。


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