投資家の間でよく話題になる「ふるさと納税」、人気のトップはいつも変わらず、華やかなイメージの牛肉です。
しかしどの産地の牛肉をを返礼品としていただくか、にこだわる方は意外に少ないのではないでしょうか。
ー高級な和牛ならどれも同じでしょ?
いいえ、意外に知られていないのですが、和牛の品種により肉質が大きく異なるのです。
その最も大きな違いを簡単に説明すると、「霜降り」か「赤身」か。
少しだけ和牛の知識を頭に入れておくと、好みにぴったりのお肉を食べることができて、お得ですよ。
今回のおすすめは、「赤身」が美味しい「熊本のあか牛」です。
あなたは霜降りがお好きですか? それとも赤身?
もしも霜降りたっぷりのお肉が好きならば、ふるさと納税でいただいたお肉はだいたいアタリで、好みにぴったりなことが多いのではないでしょうか。
でも、たまにはさっぱりとした赤身のお肉が食べたいという場合は、美味しいけれど何か違うと感じる事があるかもしれません。
この違いはなんでしょうか?
答えは、ブランド牛のベースとなる牛の種類にあります。
ここで、農林水産省のデータから、和牛の種類を見てみましょう。
和牛とは、日本古来の牛に外国産の様々な品種を交配して品種改良が行われてきた肉専用種の牛のことで、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4つの牛の品種が存在します。
では、日本国内におけるシェアはどんな感じでしょうか、家畜改良センターのデータをグラフ化してみました。
(データ参考:平成29年4月20日公表 飼育頭数/家畜改良センター)
なんと黒毛和牛(黒毛和種/くろげわしゅ)が和牛全体の98%を占めているんです。
黒毛和牛の肉質の特徴は、豊かなサシ。それも、サーロインやロースといった部位でなく、赤身といわれるモモや肩、ヒレにまで霜降りが多く入ります。高級牛として知られる松坂牛、米沢牛、山形牛なども全て黒毛和牛です。
和牛=ほぼ黒毛和牛であり、いつの間にか霜降りが当然のように感じていたんですね。つまり、霜降りが好きな方は、ポピュラーな和牛を選べば、概ね好みに合うというわけです。(もちろんブランド牛により、細かな味の違いや美味しさは一概に語れるものではありません)
でも、たまには赤身のお肉が食べたいという場合。
外国産のパサパサした赤身は嫌だけれど、和牛は霜降り過ぎて‥どうしたらいいのでしょうか。
ここで、先ほどの和牛のシェアのわずかな残り、「褐毛和種」「日本短角種」が脚光を浴びることになります。これらは、日本の格付け(霜降りを良いとする)の問題から生産数が少ないのですが、つまり霜降りでない、赤身らしい赤身、それも旨味のつまった赤身肉が特徴なんです。
近年、日本人の志向も変わりつつあり、少しづつ生産が伸びて行くと思われます。応援したいですね。
熊本の「あか毛和牛」をいただいてみた
あか毛和牛(褐毛和種/あかげわしゅ)は生産数は少ないものの、生産地が全国に広がっています。
「くまもとあか牛」はわりに有名で、聞いたことがある方もいるかもしれません。熊本といえば、2016年の4月に起きた熊本地震から約1年。さらなる復興の願いも込めて寄付をし、熊本県 山鹿市(くまもとけん やまがし)の「あか牛ヒレステーキ&サーロインステーキセット」を返礼品としていただきました。
厚み、しっとりと整ったキメ、色合い、愛情を込めて育てられた事が伝わってきます。美しいですね。ただ想像していたより霜降りであるように見えます。
この「あか牛」のベースとなるあか毛和牛の肉質は赤身が多く、適度な脂肪分を含んでいることが特徴です。さらに、黒毛和牛に比べて美味しさの元となる遊離アミノ酸が赤身肉に多く含まれています。
(参考:全日本あか毛和牛協会パンフレット)
焼いて口に入れてみますと、黒毛和牛の場合は、シャーベットのように脂と肉が混じり合い、それが脂っぽく、甘く感じることがあるのですが、あか毛和牛のヒレ肉は、野性味が強くなったような力強い旨味を感じます。とても美味しいです。
今回はヒレを試してみましたが、同じあか毛和牛でも、ランプ(モモ)などの赤身部位ならば、もっと赤身らしい旨味を感じられるでしょう。
「あか毛和牛」をぜひ食べてみよう
今回のまとめですが、「和牛」は4種類あり、有名ブランド牛や、和牛と表記されている牛肉はほとんどが黒毛和牛であることがわかりました。ランプなどの赤身の部位にまで霜が入りますので、黒毛和牛で「赤身を味わう」というのはちょっと違うことになるんですね。
霜降りを味わいたいなら「黒毛和牛」。赤身を味わいたいなら、「あか毛和牛」「短角牛」をぜひお試しください。
紹介した「あか毛和牛」「短角牛」はいずれも通販や高級スーパー、レストランなどでで食べることができます。(短角牛はかなりレアですので、見つけたらラッキーですよ))
ふるさと納税の返礼品としていただく場合は、「ふるさとチョイス」などのサイトで「あか毛和牛」や「あか牛」「神内和牛あか」(上に書いた日本地図参照)などのブランド牛の名前で検索してみてくださいね。
また、「あか毛和牛」のモモや肩などの部位、いわば赤身中の赤身は残念ながら今回試してみることができませんでした。今度はもっと赤身らしい旨味を追求したいと思いますので、「赤身の比較記事」などを予定しております。